ブログ「子育て科学日記」

私の「大切」クラシック編

時折、私の車内放送はクラシックバージョンになります。
今がまさにその時で、無性にシンフォニーの音色に身を埋めたくなるのです。
とは言っても、とてもベタなものしかわからないので、クラシックファンの方からすれば呆れられるラインナップでしょう(汗)。

1996年(か97年)、アメリカセントルイスシンフォニーのシーズンチケットホルダーだった私は、前から3列目の席で、美人バイオリニスト、アンネ・ゾフィー・ムターのチャイコフスキーバイオリン協奏曲の演奏を聴きました。
当時のセントルイスシンフォニーの指揮者はレオナード・スラットキン。
有名な方なので、その関係で五島みどりさんやヨーヨーマさんなどたくさんの著名なソリストを間近に見る機会に恵まれました。
今思えばあの値段で月一回素晴らしい演奏会に行けるなんて、しかもかぶりつきの席で!最高に贅沢でした。

皆さんさすがに一流!なので素晴らしかったのですが、何より私は、ムターの、身体にぴったり沿ったエレガントな深紅のドレスの立姿と、その外見とはうらはらな、ダイナミックで力強い演奏に、とにかくノックアウトされました。
その日から私はチャイコフスキーバイオリン協奏曲、及びムターマニア(笑)。
はい、ベタです。

でも、集めました。10枚以上持ってます。いろんなソリストのチャイコフスキーバイオリン協奏曲。

その中でも、とにかくほぼこればかり聞いていると言っても過言ではない一枚が、ムターがヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のベルリンフィルと共演してる一枚。
1988年に録音されたライブ盤なのです。これがすごい!本当に「奇跡」ってこういうことを言うんだと思っちゃう素晴らしさ。
第一楽章、クリアなシンフォニーの導入に誘われるように、でも全く一線を画した音で入ってくるムターのソロ。
どこまでも伸びゆくバイオリンの音に、また、これ以上ない絶妙なタイミングでオケの音が絡み付いてくる。
第二、第三楽章と進むにつれ、例えて言うなら、壮大な砂の城をムターを芯に積み上げていくかのような、ダイナミックなのに、計算されつくしたかのような繊細なるシンフォニーの音色に、私はいつも、聴いていて息をするのもためらわれます。
終盤、上り詰めていく興奮のクライマックスの果てに、寸分ズレなく終わりが突然やって来て、音のない静けさ、そして次の瞬間からの割れるようなapplause。
あー、何千回聴いてるかわからない演奏ですが、こうやって書いてるだけで、またからだの芯から興奮と感動が沸き上がります。
この日このときの音がこうやって残されていく素晴らしさ。やっぱりライブ盤、大好きです。

ムターとカラヤンのスタジオ録音の同じ曲やほかのソリストのもの、色々聴くと、一つ一つ特徴があり、音のタイミングがあり、それぞれ良いのですが、やはりこのライブ盤がbest of all everです。私には。
いつも書いてますが、通勤の高速道路で、大音量の音楽を流すのが私の一番のストレス解消法。
歌ではないのですが、なぜか私も一緒に歌ってる、このチャイコフスキーバイオリン協奏曲(この姿は誰にも絶対見せたくない!)。
達郎さんや、みゆきさんや、エアロスミスやKaty Perryと同じ列に並んで、私を勇気づけてくれる「大切」なのです。

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