1987年 神戸大学医学部卒業
1987-1994年 神戸大学医学部小児科学教室
小児科医としての全般的なトレーニングを受けると同時に、臨床研究も行い、数々の学会発表や論文報告を行いました。さらに、レトロポゾンL1配列が引き起こした、Duchenne型筋ジストロフィー症の家系の詳細な分子生物学的解析を行い、世界で初めて報告しました。L1配列はレトロポゾンとも呼ばれ、ゲノム内において自己複製と転移をする能力を有しており、この症例の発見は、分子進化の観点からも極めて貴重なものです。基礎研究のページへ
1994-1998年 米国セントルイス ワシントン大学リサーチアソシエート
主に転写因子GATA-4のマウス臓器発生に関する機能の解明の研究を行い、臓器内胚葉におけるGATA-4の発現が、腹側臓器の空間位置関係を決定するのに必須であること、羊膜の内胚葉におけるGATA-4の発現が原始造血系の発生に重要であること、卵巣においてGATA-4とGATA-6はそれぞれ特異的な役割を担っていること、胃粘膜においてGATA-4は胃腺組織発生に必須の因子であることなど、それまで不明であったGATA-4の胎児期臓器発生への関与について、種々の新しい知見を得ました。
1998-2000年 獨協医大越谷病院小児科助手
小児科臨床(心理外来を含む)に従事するかたわら、セロトニントランスポーター遺伝子の多型解析を、様々な小児科関連疾患で行いました。
2000年-2005年 筑波大学基礎医学系講師
これまでに得た生化学、分子生物学、形態学の知識を駆使し、主に小児期に発症する精神神経発達障害の発症機構の解明の研究に従事していました。これまでに乳幼児突然死症候群の危険因子となるセロトニントランスポーター遺伝子多型の発見、催奇形因子の胎生期投与による自閉症モデルラットの作成、そしてストレス呼応系に関与することが示唆される新規の神経ペプチドマンセリンの発見などの成果をあげました。中でも自閉症モデルラットは、胎生のごく初期に母体がさらされるストレスや環境因子、催奇形因子などが、胎児の神経発生に不可逆的な変化を与えることにより自閉症が発症するという仮説を証明するものであり、近年の自閉症発症率の増加という疫学的な事実との関連も注目されます。基礎研究のページへ
2005年- 文教大学教育学部 特殊教育専修 准教授
2009年- 文教大学教育学部 特別支援教育専修 教授
医学と教育、そして福祉も融合した「子ども支援」の在り方を広く社会に提唱する活動と、主に脳科学を中心とした研究を行っています。同時に、児童相談所医師、発達障害者支援センター医師、そして病院での精神心理疾患外来の担当医師などを兼任していて、たくさんの側面から子どもの「育ち」を支援しています。こういった臨床経験と研究での成果から引き出した独自のセオリーに基づいた「子どもが一生幸せに生きられるための脳作りの方法」をテーマに、保護者・教員・保育士などを対象として広く講演会、執筆活動も行っています。