ブログ「子育て科学日記」

紆余曲折こそ人生の糧

先日、といっても4月ですが、レ・ミゼラブルを観に行きました。
いつ見ても感激する素敵なミュージカルなのですが、その時に、娘にねだられてDVDを買いました。
25周年記念のときにロンドンで行われたコンサートの録画です。
その後ずっと忙しく、やっと昨日鑑賞する時間ができました。
コンサートとは言っても、舞台は大仕掛けで、オーケストラもフル。
進行もほぼほぼミュージカルそのものと言った感じ、臨場感あふれる素晴らしいもので、すっかりはまりこんで鑑賞しておりました。
最後のカーテンコールで、作者の方や監督さんが出ていらして、挨拶をなさっていました。
そうか、この人たちは25年間もずっとこのレミゼを続けてきたのか~今は白髪混じりでちょっと太目なおじさんだけど、25年前は才気あふれる眼光鋭い青年だったんだろうなあ・・と思いつつ良く考えてみれば、初演が1985年のこの舞台(このDVDは2010年発売)。
私も、今から30年前の1985年にはしっかり存命してて(笑)、医学生をやっていたわけで。
はっきり言って私、25年前から着ている服もあるし。家ももう築15年だし、子どもも16歳、そして結婚25年。

人生って長いですね。最近つくづく思います。
最初の25年くらいは怒涛のごとく見た目も、行動も、所属も変わっていくので、目まぐるしいのですが、その後はあまり変わらない。
前回のブログに書いたように、考え方やポリシーは確立しているので、基本の行動・思考パターンを繰り返しているだけなんですよね。
じゃあ、人生はつまんなくて飽きてしまうかというとそうでもない。
それは環境が変わっていくから。
新たに出会う味があり、色があり、音があり、五感がどんどん刺激されるので、飽きない。
そして、新たに出会う人がいるから、飽きない。
良いこと悪いこと、すべてひっくるめて時がいい具合にふやかして発酵させてくれるので、なんだか過ぎてみればどんなことも飴色に光るきれいな思い出。

唐突なようですが、最近、子どもに起こった不幸な環境(担任の先生が気に入らない、落ち着かない子が一緒のクラスにいる、など)を、何がなんでも快適なものに変えたい!という親御さんが多すぎる気がします。
そういう親御さん自身は、今まで快適な環境でばかり過ごしてきたというのかしら!?と私はいつもいささか皮肉な思いでそういう方たちを眺めています。
部活で友達とケンカした、上司と気が合わない、入学試験で不合格になる・・生きていればネガティブな事件が全くおこらないなんてありえないと私は思うのですが、あたかもそんなことは私のこれまでの人生には存在しなかった!とでも言わんばかりに、「このままではうちの子がかわいそうなので、なんとか担任の先生に代わってほしいと思うのですが、どう言ったらいいですか?」と真顔で質問してくる親御さんのなんと多いことか。

25周年を迎えたミュージカルレ・ミゼラブルのスタッフたちにだって、絶対に紆余曲折、大変なこともたくさんあったでしょう。でもそれを含めてすべてを受け入れてきて今いぶし銀の重厚さのあるお芝居になっているわけです。
そして、さらに言うならレ・ミゼラブルというユーゴーか書いた小説そのものが、ジャン・バルジャンという一人の男の壮絶な人生の記録です。
時代や人やちょっとの欲や、いろんなものに突き動かされて運命が変動していくその人生に、知らず知らず共鳴し同化していく中で、私たちはいつしかそれぞれ自分の生きる道を投影して、正しいものをその中から選びとる作業をしているように思います。

読書や観劇の機会が圧倒的に今の日本人には足りていない、と危機感を覚えます。
だからしっかりとした自分の人生観を確立しにくいわけですよね。
子どもを持つにはあまりにも未熟すぎる、多くの日本の親たちに、ぜひレミゼを!

ページの先頭へ