ブログ「子育て科学日記」

師走!そして予言!そして芸術!

皆さんこんにちは!
crisp airが気持ちよく、常磐道からの富士山もくっきり見えるこの季節。そう、気が付けば今年も師走に突入です。
成田家では毎年この時期にクリスマスカードを作成し、世界各地のお友達に送るという慣習があります。
お友達からも写真や近況が記入された素敵なカードが送られてきます。
今は世界中とメールやスカイプで瞬時に繋がれるのだけれど、やはりこの手に持てる紙の感覚がいいのよね~~などと言いつつ、面倒な印刷、メッセージと住所書き、発送の作業を行っている私です。

ところで、先ごろ「サクリファイス」という映画(1986年、アンドレイ・タルコフスキー)を見ました。
統合失調症の心象世界を見事に描いた作品なのですが、映像がとても美しく絵画的であり、まるでシェークスピア劇のような重厚感のある画面が展開されます。

その心象世界では、世界は核戦争が突然勃発し、ただの郵便配達夫は悪魔の使いであって、今主人公が行動を起こさねば彼の周りのすべての人々は不幸になる、という設定で、そのために主人公は御告げの通りに行動を起こすわけです。
初めは私も映像美を堪能しつつ「精神障害の当事者の心の中を知る、良い勉強になるなあ」とストーリーに没頭していました。

ところがです。
後半にさしかかったあたりから「ん??」と思い始めました。
なぜか主人公は狂気の中で日本の尺八の演奏CDをかけ、日本の着物を羽織り、そして家に火をつけ、捕まえにきた人たちから逃げ惑うのです。
荒涼とした砂浜、海、そして一本の枯れた日本の松。
なんだか見たことがある気がする場面。

・・・・・・・!!!

これって、東日本大震災の時に見た光景だ!
何もない(なくなってしまった)海の間際に一本だけ立ち残った松の木。
核戦争っていう設定もこの火柱が立ちとけるように崩れていく建物の姿も。
・・・デジャブでした。

そう思ったとたん背筋がぞ~~っとしました。
「もしかして、1986年のタルコフスキーはそうとは知らず25年後の日本の姿を予知していたのでは!」
coincidenceとしてはあまりにも出来すぎている・・・・
この映画そのものが宗教世界をベースにしている(マリア様の受胎告知に似た場面とか)のも、タルコフスキーも主だった俳優たちも、なぜかその後がんで早世しているのも、どんどん気になってしまって、しばらく頭の中が「予言」で満たされてしまいました。
怖いもの見たさの皆さん、ぜひ一回ご覧になってください。
まあ、私が騒いでいる割には、回りの人たちは「ふう~~ん」程度の覚め~たリアクションだったのが気にはなりますが(笑)。

映画に限らず、こういう芸術作品は、受け手側の状態や時代によっておそらくは創作者の意図をも超えて成長していったりするのは、とても面白いことですね。
東日本大震災で言えば、山下達郎さんの「希望という名の光」という曲も、当初は全く違う目的・用途で作られた楽曲だったにも関わらず、震災後の私たちにあまりにもぴったりと寄り添う詩で、リクエストがたくさん寄せられたという話は有名ですよね。私もこの曲が入った「Ray of Hope」というアルバムを通して聞いたときには、本当に心が震えました。
自分が芸術からは最も遠いところにいるだけに、46億年の生命の歴史の中でこの時代に生きられて、この芸術たちにリアルタイムで出会えた偶然に、本当に感謝あるのみです。あとどれだけ私の生命が続くのかは神のみぞ知る、ですが、死ぬ瞬間までたくさんの芸術に出会っていきたいなあ、と思っています。

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