ブログ「子育て科学日記」

子どもをみつめる

思春期に壊れてしまった子供たちとその家族を診ていて特徴的だなと思うのは、自分の子供の本質的な性格を理解できていない親が多いということである。愛情がない、とか虐待している、とかいうわかりやすいケースはむしろ少なくて、どちらかといえば、かまいすぎるくらいに子供のことをかまっていて、なにくれとなく世話をやいたり、習い事をさせたり、「子供のために」仕事をやめて家にずっといてあげたり、という親のほうが圧倒的に多い。それなのに、私の子供は○○という性格である、と、客観的に見て全く違う性格であると思い込んでいたり、または「自分がこうあってほしい」様に無意識にすりかえて思い込んでいたりする。子供は基本的に親が好きだから、親に思われているような自分の性格に近づければもっと好かれるのではないかと、けなげにも無理な努力を重ねる。それがたまりにたまった思春期のある日、暴力や不登校、拒食症という形で噴出してくるのだと思う。生まれてから数年間、ただ子供のありのままの姿を見つめ続けるという本当に簡単なことが、子育ての一番肝の部分なのかもしれないと思う。しかし情報にあふれ、流れの速い現代では、ただ手も出さず、なにもしないでじっと子供を見つめる、という作業が皮肉なことに一番困難なのかもしれない。

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