ブログ「子育て科学日記」

ハリネズミ

時折、「まさにハリネズミだなあ」と思う親に出会うことがある。心理学でよく使われる「ハリネズミのジレンマ」という言葉がある。ハリネズミが仲間をもっと知りたい仲良くなりたいと思って近づけば近づくほど、お互いの体から飛び出ている鋭い針がお互いの体を深く傷つけ合ってしまう、というものだ。これが親子の場合だと、子どもハリネズミの針はまだ完全に伸びきっていないので、もっともっと悲惨だ。「子どもを思っている」「子どもが心配」と自分の言葉は大きな声で叫んではいるけれども、子どもの言葉は聞き取ろうとしない、子ども自身の姿を見ようともしない。そして全身から飛び出している針を引っ込めて子どもに近寄る術を持たないために、近寄れば近寄るほど子どもを深く深く傷つけてしまうハリネズミの親。そんな親と対峙すると私はとても悲しい気持ちになる。広い社会の中で自分が勝手に針を尖らせて突き進んでいるのならいい。周りのものは気配を察して逃げることができるから。だけど閉塞した家庭の中で、子どもに向かって突き進むと、子どもには逃げ場がないのだ。そんな子どもたちは悲鳴を上げる代わりにいろいろな症状を出して自ら血を流す。ある子は食べることを拒み、ある子は手首を何百回となく切り裂き、ある子は万引きを繰り返す。そして性懲りもなくハリネズミの親は繰りかえす、「子どもが心配」「私が守る」と。子どもの傷を深めていくのが他でもない自分自身だということを認めようともせずに

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