そして格差は広まる。
最近、いろいろなところで二極化、という言葉を聞きますが、私自身も本当に様々な場面でそれを実感します。
例えば小学校の授業を見学に行くと、高学年のクラスの算数の授業などでは、どんな課題にも真剣に取り組み、先生の意図を汲んで適切な発言を行う聡明な子が数名いて授業をうまくリードしている一方で、姿勢もグダグダ、下手をすると机に突っ伏して寝ていたりする子がやはり数名見受けられます。この子たちはもちろんノートもとらないし、すでに数学年前の学習が入っていない状態。
これでは確かに同じ教室で均質な学習を進めていくことはもはや不可能と思われます。
こんな小学生が大きくなったんだな、と思わされるのは、大学の授業をしているときです。
100人超のクラスを受け持っているのですが、いつも前列で真剣にこちらの顔を見て話を聞いてくれる学生もたくさんいる一方で、授業中でもおかまいなしに大声で喋り続ける、携帯をいじっている学生が目につくのも残念ながら事実です。前で立っていて講義をしていると良くわかりますが、授業中のおしゃべりというのは本当に耳に付き、真剣に聴こうとする集中を途切らせるものです。
ですので、「とにかく寝ててもいいからしゃべるな。音を立てるな。他の真剣に聴いている学生に迷惑をかけるな」と再三言うのですが、これがわからないらしいのです。
そんな大学生が大きくなったんだな、と思わされる親たちにも良く出会います。運動会で自分の子どものビデオを取るために他の人が見ているのもお構いなしに前へ前へ出しゃばって大きな機材をふりかざすのは、当り前。授業参観に来ても「先生ちょっと横にずれて」なんてダメ出しをしながら授業中のわが子の姿のビデオ撮影に余念がない親もいます。かと思うと携帯を鳴らして通話を始める親、知り合いに出会って話に花が咲く親・・・
かくして、日本の社会では、格差は連鎖してますます広まる運命なのだな、と私はひそかに思っています。