ブログ「子育て科学日記」

あの二人に共通しているのは

最近報道されてとても印象的だった二人の人物、佐村河内守さんと小保方晴子さん。
皆さんはどう思われてるのでしょうか?
表現型(見える症状)は違っていても、私には二人とも全く同じ種類の病に侵された人間に見えます。

どちらも、一言でいえば「嘘つき」ですよね。
本当にはないかもしれないもの、もしくは本当はもっともっと些細なものを自分の名声・注目をひくためにあるがごとく、もしくは大きく派手に演出し。そしてその嘘をどこまでもつき続けようとした。
私が驚くのは、どちらも自分で嘘を告白したのではないということ。

どんな人間でも嘘はついてしまうことはあるし、誘惑に負けることはあります。
特に子ども時代は一度や二度は嘘をつき、親や友達にばれた経験もあるのがふつうです。
でも、大人と呼ばれる年齢になったら、そういうことは極端に減ります。
なぜだろう?と考えると、やはり小さい時からのその「嘘をついた→ばれた→怒られた・恥をかいた」の経験が繰り返されたからだと思うのです。

嘘をつかない、つけない理由は人それぞれでしょう。
でも、人はかなりの高い確率で幼少期の記憶・経験をもとに「ここで嘘をついてばれたら怒られる」「ばれたら大恥をかく」と考えて嘘を断念するのではないかと思うのです。

残念ながら佐村河内さんも小保方さんも、幼少期から親や友達に嘘がばれて困った経験を繰り返す、という重要な脳づくりが欠けていたのでしょうね。
いつも言っていることですが、「いい子」は危険です。いい子は嘘をつかないか、またはものすごく巧妙に嘘をつくので、嘘がばれて叱られたり恥をかく経験が極端に少ないのです。
この二人がいい子だったのかは知りません。けれども少なくともこんな恐ろしい嘘を平気でつき続けていることを抑止する脳の力が、親や友達との関わりから作られなかった子、ということだけは真実なのではないでしょうか。

もう一点、この二人の事件に共通していること、それはメディアの大罪です。
二人とも、虚像を拡大して報道するメディアの存在があったからこそ、嘘が深刻化してしまったのだと思います。

その昔は私もいっぱしの基礎研究者でしたから、基礎研究がいかに時間のかかるものかということを身に染みて知っています。
一つ「これは真実かも!」という大発見の芽をみつけても、その裏を固める、つまり本当に納得いく写真一枚を撮れるのに3年、4年とかかるのは普通のことなのです。

なので、小保方さんの最初の報道を聞いたとき、一番に感じたことは「30歳で、そこまで確信に満ちたデータを得ることはできるのだろうか?よっぽどラッキーだったのかな?私だったら全く無理だな」ということでした。

佐村河内さんのテレビもたまたま見たことがあったのですが、その時私が感じたことは「これだけ高度の難聴があってたくさんの向精神薬を服用して、音楽を作るということは可能なのかな?私なら無理だな」ということでした。

この、「本当にできるのかな?」という気持ちを、最近のメディアは全く持たないような気がします。特にテレビの報道は冷静さも検証する論理性も全く見受けられなくて、本当にひどいと感じます。
もちろんこの二人の嘘はよくないですが、それを検証もせずに拡大させ流し続けたメディアの罪はもっと大きいような気がします。

メディアがこんな状態ですから、検証しない、冷静でない態度は国民全体に広がっています。今私たちがしなければならないことは、子どもが悪いことをしそうになったとき抑止力として働く大人になるための努力をすることです。
テレビを何時間みてもそんな力は身に付きません。
塾や、おけいこごとに任せずに、目の前に子どもを置いて、とことん関わりましょうよ。

ページの先頭へ