ブログ「子育て科学日記」

大人が不機嫌だと子どもは育たない、と思う。

今年の年始に、電車の中で楽しそうに笑い転げている姉妹の話を書いたと思うのですが、それから約4か月して今、春休みでまた子どもたちの姿を平日の街でよくみかける時期になってます。

昨日も某所でご飯を食べているときに、横のテーブルで母と推定6歳くらいの男子が二人で夕飯を食べていました。
私が観察(笑)していたのは約40分間ですが、その間母子の間で交わされた会話が、一回だけ。
食べていたうどんを箸でつかみ損ねて床に落としてしまった子どもに「箸の持ち方がなってないからよ」と注意して持ち方を指示した、その一回だけでした・・

それ以外の時間、母親はずうっとスマホをいじっており、男の子はすうっと窓の外を眺めて無言でした。
男の子はゲームをしていないだけまし(忘れてきたのかな?)ですが、それにしても無気力、無表情な顔がとてもとても気になりました。
40分間、一度も母子どちらの笑顔も見ることができませんでした。

たぶん、全然いまどきは珍しくない光景なんでしょうが、これって本当に危険ですよね。
この子が何かを考え付いていたとしても、目の前にいる人が聴く耳をもっていないって、とてつもない孤独感を生みますよね。たとえ6歳でもそういう感覚は持つものです。
せめて目を真正面から見つめて、微笑むだけでずいぶん違うのに。

私は、なぜ、いつからこんなに日本人が不機嫌になったのか、気になって仕方がありません。
私のところを訪ねてくる患者さんの親御さんは、皆最初は不機嫌、もしくは憂鬱です。
それはまあ、当たり前というか、仕方ないと思うのです。
でも毎回外来にいらしていただいているうちに、いつの間にか変わってきて、ついにお母さんが私の前で爆笑するようになったり、あろうことかわざわざ私に披露するためのネタを作ってまで(笑)いらしていただけるようになるのです。

そのころには、間違いなく子どもの状態はよくなっています。
非科学的に見えて実はこれが本当に人間という生命体の真実なのかもしれないなんて私は考えています。
人間だけが笑う動物であることは有名ですよね。
ここまで脳機能が高度に進化した動物が、ただ無意味な機能としてのみ笑いを身に着けたと、考えるのは不自然です。
やはり、笑いには人間の存続や健康、そして子どもの発達を促す因子が含まれていると考えるのが妥当ではないかと思うのです。
脳科学的にも、ポジティブな情動を起こしやすい人の免疫能はそうでない人より高い、など笑うことの効用に通じるデータは出ています。

ぜひ、親御さんは意味なく(?)でもいいので子どもの前で笑ってほしい、機嫌が良いふりだけでもしてほしいと強く願います。

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